羽ばたけなくて

しばしの沈黙。

あぁ、私、雅也に嫌われちゃったな。

そう思っていた私の頭を

ふわり手の温もりがそっと優しく撫でてくれる。

「羽衣、自分自身に逃げないで。

 もう、あの頃の自分じゃないんだろ?

 羽衣の中にある気持ちを、

 俺に、素直にぶつけて欲しいんだ。」

私の頭を撫でながら雅也が静かに言う。

あの頃の自分。

自分の中に“厚い壁”があったそれまでの自分。

今はもう、そんな自分じゃないんだ。

自分を否定し続けるなんてつまらないこと、

もうしなくてもいいんだ。

私はそうっと視線を上げると、

雅也を真っ直ぐに見つめて口を開いた。