羽ばたけなくて

せっかく雅也から繋いでくれた手。

もう私の家の前に着いたからはなすべきなんだけど、

でも雅也のぬくもりをもう少しだけ感じていたい。

繋いだままの手に少しだけ力を入れる。

すると、雅也もまた私に応えるように

ぎゅっと握り返してくれた。

それが嬉しくて、でもなんとなく恥ずかしくて、

雅也の顔を見ることが出来ず

繋いだ手をじっと見つめることしか出来ない。

「……少し、どっかで話すか。」

そう切り出したのは雅也だった。

意外な言葉に私は驚きを隠せず言葉に詰まってしまった。

なかなか「うん」と返事を出来ずにいると、

向こうの方から元気で明るい無邪気な声が響いてきた。

「お姉ちゃん! お帰りなさい!」