羽ばたけなくて

どんどんと胸の鼓動が激しさを増していく。

握った手から

雅也に伝わってしまうのではないかと思うほど、

ドクンドクンと大きな音を立て続ける。

私をかばうようにして少し前を歩く雅也の後ろ姿に、

見とれてしまって周りなんて全然視界に入ってこない。

こうして手を繋いだまま下校するなんて初めてだし、

さっき美園にああ言われた直後だから尚更。

自分の家が近付いていることさえ気付かないでいた。

私の歩調にずっと合わせながら前を歩いていた雅也が、

ぴたりと足をとめた。

私も雅也に合わせて歩くのをやめる。

「ほら、着いたぞ。」

雅也の言葉で初めて自分の家の前だということに気付いた。

「あ、う、うん。」

頷きながらも

私は繋いだ手をはなしたくなくて俯いてしまう。