羽ばたけなくて

じゃあ、「今日も天気がいいね」なんて話しかけても、

きっと「あぁ」としか言ってくれないだろう。

せっかく雅也と2人なのに、

なにもしないまま家まで歩くなんてもったいない。

いろんな考えを巡らせて、私は小さく溜め息を吐いた。

「どうした?」

そんな溜め息を聞き取ったのか、雅也は静かに訊ねた。

雅也に気付かれないように小さくしたつもりだったのに、

急に恥ずかしくなって顔が火照り始める。

「う……ううん、なんでもないよ。」

私は微笑みながら首を横に振る。

“雅也との会話に困っていた”

なんて本人の前で到底言えるわけないじゃない。

その瞬間、

「羽衣!」

雅也の叫び声と共に私の体が

ふわりと雅也の方へと傾いた。

「え……」

突然のことに驚きを隠せないでいると、

雅也は顎で私の向こう側を指しながら静かに告げた。