羽ばたけなくて

ばたばたと慌しく『CANDY』を出ると、

私たちは横に並んで歩き始めた。

店の中では少し乱暴な口調だった雅也だったけれど、

今はいつもとなんら変わらず

私の歩調に合わせゆっくりと歩いている。

美園にからかわれて怒ってるんじゃないかと思ってたけれど、

歩調を見る限り、

そうでもなさそうな気がして少しホッとした。

けれど私たちの間にはただただ長い沈黙が流れている。

雅也はぎゅっと口を閉ざしたまま真っ直ぐ前を向いている。

私はそんな雅也が気になりながらも

話すきっかけを失っていた。

美園の言った言葉が本当なのか

すごく確かめたかったけれど、

きっと今の雅也に訊いたところで答えてはくれなそうだ。