羽ばたけなくて

大志の言動に美園もまた

顔を赤らめながら「もう」と甘く呟く。

そうだよね。

大志と美園は高いハードルをくぐり抜け

ようやくカップルになったんだ。

2人の時間はこれからたくさん必要だろう。

私はにっこりと笑顔で大きく頷いた。

「うん、いいよ。

 大志と美園の甘い時間、邪魔しちゃ悪いしね。」

「もう、羽衣までー。」

口ではそう言う美園だけれど、表情はとても柔らかい。

美園、大志のことすごく好きなんだね。

私もいつか美園と大志のようになりたい。

けれど、今は……

「じゃ、ここで別れるか。」

雅也が静かにそう言うと席をすっと立ち、

私の肩を2,3度叩いた。

視線を雅也へと向けると、

「いくぞ。」

そう告げて美園と大志に右手を上げて歩き始めた。

「ちょ、ちょっと待って。美園、大志またね。」

早口にそう挨拶すると、

置いていかれないように雅也の後ろ姿を追った。

そんな私たちを、

美園と大志が温かく微笑んで見ているのを気付かずに。