羽ばたけなくて

しぼんでいた期待が風船のようにふわっと膨らみ始める。

そのスピードはとても早く、

それとともに鼓動も暴れ始める。

「そう、なの……?」

私は小さな声で雅也に訊く。

しかし、雅也は口を固く閉じじっと一点を見ている。

雅也、私、美園の言葉を信じてもいい?

期待しちゃっても、いいかな?

「俺は羽衣が心配なだけだ。」

ぽつりと雅也は呟く。

その言葉になおも美園がにっこりと微笑んで食いつく。

「羽衣が、好きだから?」

「羽衣はすぐに意識が飛んで危なっかしい。

 事故にでも合わないように、家まで送り届けるんだ。

 俺は別に家が遠くなったって構わない。

 ……心配なだけだ。」

思っていた反応が返ってこなかったのか、

美園はつまらなそうに口を尖らせて「ふーん」と呟いた。

でも、私の心の中は

雅也の言葉が角砂糖のように甘く溶け広がった。