羽ばたけなくて

「羽衣、ゴチになります。」

大志がにんまり笑って

ソフトクリームを少し上に持ち上げる。

すでにソフトクリームを手にした私たちは、

『CANDY』店内、

いつもの一番奥にあるテーブル席に着いていた。

こうして4人でこのテーブルを囲むなんて、

もう二度とないと思っていた。

“二度と”なんて大袈裟かもしれないけれど、

私は本気で揃うことがないと思い込んでいたから、

今、こうして

4人笑顔で囲んでいることが心の底から嬉しい。

4人分のソフトクリーム代金だって、気持ちよく出せる。

私は新作のピスタチオソフトをぺろりと舐めると、

にっこりと笑った。

「美味しい。」

あまりの美味しさに思わず声がもれる。

その小さな声に反応したのは、雅也だった。