羽ばたけなくて

「よし、決まりな。

 もちろん、羽衣がおごりってことで。」

大志が私の肩に手をぽんぽんと2回叩きながら言う。

「ちょ……、誰がいつおごるって言ったの?」

私が大志を軽く睨みつけながらも微笑んで訊く。

すると大志が私の頬をつんと1回つつきながら、

「ここに、『私がおごります!』て書いてある。」

と、理由にもならないことを口にすると

「よろしく」という言葉と共に去っていった。

「たく、しょうがないな。

 大志は本当ちゃっかりしてるよ。」

口ではそう言いながらも、

私の心は幸せな気持ちでぽかぽかと温かい。

もう2度と4人で遊べなくなった、そう思っていたから、

こうして以前のように会えるのが心の底から嬉しかった。

「雅也も放課後、よろしくね。」

美園が雅也の肩に手を置きながら声を掛ける。

それに対して雅也はなにも言葉にしなかったけれど、

OKサインの代わりに

美園に向かって軽く一瞬だけ微笑んだ。