羽ばたけなくて

「た、大志!」

私の心配とは裏腹に

イタズラな笑顔を振りまく大志の姿がそこにあった。

「よう、羽衣。おっはー。」

「おっはー、じゃないよ。

 そんなに思い切り叩かないで。」

私が少し顔をしかめながら言うと、

大志はニッと笑いながら「悪ぃ」と呟いた。

いつもの大志の姿に私は今まで考えていたあらゆることが、

一気に泡になって消えていくのを感じた。

そのうち登校してきた美園と雅也も

私たちのところへとやってきた。

「おはよ、羽衣。」

「美園、おはよう。あのさ、昨日はあれから……」

私の言葉を遮るように大志が右手の親指をぴんと立たせて、

目の前に差し出した。

「俺、やったぜ。」