昨日―――。

その放課後、

約束通り新堂さんは美園と大志を迎えに来た。

新堂さんの姿が見えた瞬間の大志は、

なんとも言い表せないほどの緊張感で

今にも潰れそうになっていた。

そんな大志の背中を優しく押したのは、

雅也でも私でもなくて、隣にいる美園だった。

「大志、行こう。私たち、一緒だったら大丈夫だから。」

美園の言葉に大志は目をつむりふうっと長く息を吐くと、

すっと目を開け真っ直ぐ正面を見つめた。

「行こう。」

たった一言だけ、でもとても力強い大志の言葉に、

美園も私や雅也だって、

きっと大丈夫だと感じていた。

大志はすっと美園の手を優しく握り締めると、

校門で待つ新堂さんに向かって一礼した。

新堂さんもそれに応える。

ただ、今まで無表情のことが多かった新堂さんの顔が、

とても穏やかで優しく微笑んでくれていることが、

さらに私や雅也の気持ちを落ち着かせていた。

うん、大丈夫だ。

そして私と雅也が見守る中、

美園と大志は新堂さんの車へと乗り込んだ。