「俺……、大丈夫かな……」

新堂さんが去ってしばらく経ってから

大志がうわ言のように言う。

その大志の顔には、

緊張と恐怖とが混ざり合っているように見える。

かける言葉が見つからない私は、

ただ大志と美園を交互に見ることしか出来ないでいた。

美園は大志の不安を取り除くように、

優しく背中をさすりながら「大丈夫」と耳元で唱え続ける。

「大志なら、大丈夫だ。」

突然響いたとても落ち着きのあるしっかりした声に、

みんなの視線が一気に集まる。

確信があるかのような雅也のその姿に、

大志はただ黙って視線を合わせる。

雅也が小さく息を吐くと、さらに言葉を続ける。

「さっきの大志、カッコよかった。

 あんだけ自信を持って美園の想いを叫んだんだ。

 その想いが通じたから、

 新堂さんだって理解を示してくれたんだ。

 大志、自信持てよ。

 今のお前なら、

 絶対、美園の親父さんも理解してくれる。」