羽ばたけなくて

「な、なんで新堂さんがここにいるのよ。

 お迎えって、たった今学校に来たばかりなのに。」

美園はそう言いながら新堂さんを睨みつける。

そんな美園の様子を楽しむかのように

新堂さんは言葉を続ける。

「美園お嬢様のお気持ちが

 これ以上惑わされないように、

 この方たちとのお付き合いを

 断ち切るために参りました。

 担任の先生には“急用”と言って

 話は通してありますのでご安心を。」

あくまでも冷静に淡々と話す新堂さんの口調は、

殴られる衝撃よりも心にぐさりと深い傷をつけた。

美園が大志のシャツをぎゅっと握り締める。

「『惑わされないように』って何よ。

 惑わせてるのは新堂さんやお父さん達じゃない!

 私は……、私は大志が好きなの。

 もうこれ以上、自分の気持ちに嘘つきたくなんかない。」