羽ばたけなくて

「私も大志のことが好きなの!

 ずっと、ずっと前から……。

 なのに、私には“許婚”がいるからって

 ずっと心にしまっていたの。

 でも……、それは間違ってたんだって、

 大志が教えてくれたの。」

美園の目から涙がどんどん溢れ出てくる。

「だから、大志の側にいさせて……」

消え入りそうな美園の声に、

それまでじっと見つめ続けていた大志が

ふわりと美園を包み込んだ。

「当たり前だろ。俺が惚れた女、誰にも渡すもんか。」

大志は美園の耳元で呟くと、

美園の背中を愛しくさすりながら抱きしめ続けた。

「私、大志が大好き。」

美園の言葉に大志がこくんと頷く。

「絶対、美園を離さねぇ。」

大志は決意に満ちた言葉を口にした。

大志の腕の中にいる美園は本当に幸せそうで、

ようやく素直になれた喜びが全身から滲み出ている。

よかった。

大志も美園も、自分の気持ちに素直になれて。

そう思った時だった。

校舎へと続く扉の方からコツコツと

私たちに近付く足音が響いてきた。