混ざり合っていた空の色が、

濃い藍に染まった。

風も気持ち少しだけ冷たく感じる。

気付くとすでに私の家の前に到着していた。

「じゃ、雅也。また明日。」

雅也に向かって微笑みながら挨拶をする。

私の気持ちがばれないよう必死に自然を装いながら。

「あぁ、じゃあな。」

いつもは言葉を返さない雅也が、

珍しく挨拶を返してくれた。

ほんの些細なことかもしれないけれど、

それだけですごく嬉しい。

そんな私の気持ちなんか知らずに、

雅也は私の家からはなれていった。

雅也の後ろ姿をしばらく見届けた後、

私はひとつ息を吐いてから家の玄関を開けた。