自分の気持ち―――?

雅也の気持ちって、一体どんな気持ちなのだろう。

私だって、自分に素直になれないのが悪いんだ。

だから、こんなにも雅也を困らせてしまっている。

「子どもみたいなのは私の方だよ。」

私がそう呟くと、

雅也は頭を撫でていた手をそっと離した。

「ゴメン。今のことは忘れて。

 ちゃんと心ん中整理するから。

 それと、今日は無理言って会ってくれてありがとな。

 またメールするから。」

雅也は早口にそう言うと、

学校で見せる表情へと戻った。

どうしていいのか分からず、

雅也へと視線を送り続ける。

すると「じゃ」と言っていつものように

右手を軽くあげると、

私に背を向け歩き始めた。

私はその背中を見えなくなるまで

その場で見つめ続けていた。