羽ばたけなくて

いつの間に支払いを済ませていたのだろう。

こういうさりげないところが雅也の魅力だ。

私は心の中でそっと「ありがとう」と

雅也の背中に呟いた。

とくに行く当てもなく2人並んでゆっくりと歩く。

少し伸ばせば雅也の手はすぐそこにある距離。

どさくさにまぎれて手を繋いでしまおうか、

という衝動に駆られる。

でも、小心者の私は結局手を伸ばすことが出来ない。

雅也においていかれないように一生懸命歩くのが精一杯だ。

そんな時だった。