羽ばたけなくて

「だったら、俺らもお開きにしない?」

雅也の言葉を聞いた瞬間、

美園の叫び声が店内に響き渡った。

「なんでー?

 てか、これからじゃないの、普通。ね、羽衣。」

美園の問いかけに私は返事に困り頷くことも出来ない。

雅也の言うとおり、

時間としてはもう帰らなくてはいけない。

でも私の気持ちとしては、美園の言うとおり、

もっと一緒にいたい。

雅也と1分でも1秒でもいいから長く一緒に過ごしたい。

愛想笑いでごまかしている私に、

雅也が今度はしっかりとした口調で、

「また明日でも、いいんじゃね?」

と美園をなだめるように言った。

私も思わず雅也の言葉にこくんと頷く。

そうだ。

明日だって雅也と一緒に過ごせるじゃないか。

雅也と私に押されるように

美園は「わかったぁ」と小さく言うと、

残りのソフトクリームを綺麗にたいらげてから

席を立った。