「じゃ、俺たちも帰るわ。

 ごめんなー、羽衣。

 せっかく楽しく過ごしてたのによ。」

大志がにかっと笑いながらそう言ってすっと立つと、

雅也も静かにそれに続いた。

「私は大丈夫だよ。それにヨウといっぱい遊んでくれたし。

 今日はありがとね。」

私の言葉に大志が大きく頷く。

「じゃ、またなー。」

明るすぎるその声が、大志の中にある葛藤が伺える。

大志が部屋を後にすると雅也がすっと私へと近付き、

「後でメールするよ。」

と耳打ちした。

思いがけない雅也の行動に思わず胸が高鳴ってしまう。

耳打ちされたところが熱を帯びる。

こんな状況なのに、なんてヤツなんだろう私は。

「じゃね、大志。雅也。」

私が声をかけながら手を振ると、

2人は私の家を後にした。