羽ばたけなくて

突然の大志の言動に美園の目が丸くなる。

しかし、それはほんの数秒のことで

すぐにその目は遠くを見始めた。

「私の結婚相手、すごく素敵な人なんだよ。

 とても紳士的で、

 いつもレディーファーストで、それに……」

「そいつのこと、好きなのかよ?」

美園が言い終わらないうちに、大志がもう一度叫ぶ。

視線の交わらない2人。

ただ、大志の両手はずっとがっしり

美園の肩を掴んだまま離さない。

私と雅也はそんな2人をじっと見守ることしか出来ない。

大志の投げかけた質問から数分が経った時、

美園は静かに一つ息を吐いてから

ようやく口を開いた。