羽ばたけなくて

今の美園は、

きっと私たちが思っている以上に苦しいんだろう。

「それって、もしかして、例の……」

私の静かな問いかけに、

美園はしばらくの間の後、こくんと頷いた。

「なんかさ。私の結婚時期、早められるみたいでさ。

 どうやらお父さんの会社が今危ないみたいで。

 それで、本当なら

 高校卒業してからのはずだった花嫁修業が、

 今やることになっちゃったみたいで。

 私、……高校生のうちに、結婚しちゃうかもね。」

ハハッと笑いながら語る美園の姿に、

私の胸がぎゅっと締め付けられる。

美園の親の会社が経営不振だからって、

そのしわ寄せが美園にくるだなんて、

そんなことがあっていいのだろうか。

美園にかける言葉が見つからなくて黙り込んでいると、

突然、ガタンと大きな音を立てて

大志が美園の両肩を鷲づかみした。

「美園は、……美園は、それでいいのかよ!」