羽ばたけなくて

「チクショー。また負けかよ。」

手にしていた最後のカードを放り投げ、

大志が大きく仰け反る。

「大志、本当、弱いよね。」

「うるせー。」

からかうように美園が言うと、

大志が顔を真っ赤にしながら反論する。

いつもとなんら変わらない2人の掛け合いに、

私はホッと胸を撫で下ろしていた。

だって、

衝撃的な美園のカミングアウトからしばらくの間、

美園と大志の間に流れる空気が少し重くなっていたから。

夏休み期間で久し振りに会えたのもあってか、

2人は最初の頃のようにケラケラと笑い合っていた。