窓を軽やかに鳴らす雨の音で目が覚める。

焼けるような日差しで熱せられ続けていた地面を、

この雨がじんわりゆっくりと

冷やしてくれているようだ。

ベッドから起き上がると、

私は鏡の前で身支度を整えながら昨日のことを思い出す。

確信をつく雅也のあの言葉。

私の中にある“壁”を気づかせてくれた。

きっと私自身、

その存在を心のどこかで分かっていたのかもしれない。

でも、「まさか自分が」と、

その存在を無意識のうちに消していたのかもしれない。

雅也に言われて初めて、

私自身が、

ヨウを傷つけていたことを昨日ようやく理解した。