羽ばたけなくて

私が……、私がヨウのことを差別していたの?

無意識とはいえ、

私自身でそんなことをしていたことに、

雅也の言葉ではっきりと理解した。

その瞬間、私の頬をすうっと涙が伝う。

「ちゃんと弟のこと見てるんなら、

 4月の時点で俺たちに言えるだろ?

 言えなくてごまかしてたってことは、

 お前の心で差別してるからだよ。」

雅也の言葉が、胸に深く突き刺さる。

一番近くにいるはずの私が、ヨウを差別していたなんて。

雅也の言葉を否定したい、けれど、出来ない自分がいる。

溢れる涙で言葉が出てこない私に、

雅也は優しく声を掛ける。

「ごめんな、羽衣。乱暴な言い方して。」

涙を拭いながら、私はゆっくりと首を横に振る。

ごめんなのは、私の方だよ―――

私は心の中でそう叫んだ。

雅也に対してももちろんだけれど、

ヨウに対して申し訳ない思いでいっぱいだった。