羽ばたけなくて

学校と川原のちょうど中間あたりに、

私たち4人が行きつけの

ソフトクリーム屋さんがある。

鮮やかなピンク色の建物でその上のほうに、

『soft ice CANDY』と書かれた

ポップな看板が掲げてある。

ここのソフトクリームは瑞谷学園の生徒は勿論、

地元で知らない人はいないほどの人気店だ。

何度かテレビ取材を受けた事もある名店なのだ。

「すいませーん! 抹茶ソフト1つくださーい。」

先陣を切って美園が素早く注文する。

美園はいつ、どんな時でも決断するのが早い。

私が10種類あるソフトクリーム表と

にらめっこしているうちに、

美園は嬉しそうに抹茶ソフトを受け取った。

「ほら、みんな早くしてよ。私の溶けちゃう。」