羽ばたけなくて

「“そうしてる”って……?」

私が自問するように言うと、

雅也が呆れたように溜め息をついてから

言葉を続けた。

「美園と大志にいつまで黙ってるつもりなんだよ。」

黙っている―――

私に弟がいるということを。

その可愛い弟が知的障がい者であるということを。

そのことについて雅也は怒っているんだ。

でも、なぜそこまで怒るのか、

私はいまいちピンとこない。

「いつまでって……」

私が返答に困っていると、

雅也は今度は私を説得するように話し始めた。

「羽衣。お前、弟のこと、どう思ってるんだ。

 可愛いか、愛しいか、

 それとも……存在自体が迷惑か。」

最後の言葉に私は顔を赤くしながら反論した。