羽ばたけなくて

「そろそろ帰ろっか。」

そう切り出したのは意外にも美園だった。

いつもなかなか帰りたがらない人からの声に、

私は目を丸くした。

なんで、今日に限ってそんなことを言い出すのだろう。

「まだここに来たばっかじゃねーかよ。」

私の心を代弁するかのように

大志が肩を落としながら言う。

すると美園はお店の出入口を指差しながら、

「ずっとここで喋っていたいんだけどさ。

 あの行列見てると、

 ここに長居しちゃ悪い気がして……。

 それに、

 外の川原にいたら暑さで倒れちゃいそうだもん。」

と溜め息混じりに言った。