羽ばたけなくて

「ねぇ、雅也。数学の課題、やってきた?」

待ってましたと言わんばかりに

美園が少し食いつき気味に訊ねる。

普段通りに話しかけられる美園が、

正直、うらやましい。

「まぁね。」

雅也のこたえに美園の表情が一気に花開く。

「そのノート、見せてくれないかな。

 私、どうしてもわからなくって。

 ね、お願い!」

きゅんとする子猫のような目で

美園が雅也に探りを入れる。

すると、

雅也は無言でカバンの中から1冊のノートを出し、

美園の前にそれを差し出した。

美園は素早く雅也の手から取ると、

「サンキュ。雅也と友だちで本当よかったぁ。」

と言い、美園はにっこりと笑った。