羽ばたけなくて

昨日のあの場面が一気に私の中を占拠する。

一番知られたくない人に、

一番嫌な自分を見せてしまった。

私の最も暗く重苦しい過去を、知られてしまった。

そして私が嘘をついていたことがばれてしまった。

雅也はあれから一体、どう思っていたのだろう。

不安に押しつぶされそうになりながら、

私はどうにか普段通りに勤めて明るく振舞おうと、

勢いよく振り返って少しだけ微笑んだ。

「雅也、おはよ。」

続けて美園も挨拶を交わす。

「おっはー、雅也。」

雅也はいつもと同じように

「あぁ」と言いながら軽く右手をあげる。

でも、ひとつだけいつもと違うことがあった。