羽ばたけなくて

「別に、どこも行ってないって。

 てか、なんでそんな風に思うの?」

少しずつそれまでの自分を取り戻そうとしながら、

大志に訊く。

「だって、そんなに疲れてるって事はさ。

 遠出でもしたって事だろ。

 この間の4人旅行の後だってぐったりしてたじゃんか。」

「あの時ははしゃぎ過ぎて……」

私のこたえを遮るように大志が言葉を続ける。

「別に何もなきゃいいんだけどな。」

美園も大志も、

今までと同じように私に話しかけてくれることが嬉しい。

でもまだ心のどこかに、

トゲのようなものが引っかかっているけれど。

「よう、雅也。おはよ。」

ふと放たれた大志の言葉に、

私の胸がどくんと大きく音を立てた。