羽ばたけなくて

周りで頻繁に飛び交う上ずる声。

時々聞こえる屈託のない笑い声に、

クラスメイト達の楽しさが滲み出ている。

私とは違う世界が、ここには存在する。

私ただ1人、物静かで深い暗闇の中にいる。

本当は今すぐにでもみんなの輪の中に入りたい。

でも、そうした瞬間、

そこに充満する明るい輝く世界が

消えてしまいそうな気がする。

だからこのままずうっと、こうしていよう。

そう思った時だった。

背中にずしんと鈍くて重い衝撃が走った。

その衝撃の大きさに私は思わず伏している顔を上げた。