羽ばたけなくて

“可愛い弟くん”

古澤君は悪びれる様子もなく辛辣な皮肉を言う。

きっとそんなことこれっぽっちも思っていない。

むしろ、“邪魔な存在”であるに違いない。

「……弟……?」

ふと雅也がぽつりと呟く。

そうだ。

美園たちにヨウのことを話したことがなかったんだ。

というか、怖くて話せずにいた。

また、あの時のように

みんなが私から離れていくのが怖くて。

一人っ子に見られるようにわざと振舞っていたんだ。

“作られた私”が

雅也の前でもろくも少しずつ崩れていく。

「まさか大塚さん1人なワケないもんね。

 いっつも“あの”弟くんと一緒だし。

 ね、どこにいんのよ!」

私の反応を楽しむように、

仁美は笑いながら辺りを見回す。