羽ばたけなくて

もう二度と私に話しかけてこないと思っていたその声に、

身体が硬直していくのがわかる。

「ふ……古澤、くん……」

見下すような冷たい視線を私に向けながら

古澤君がにやりと笑っている。

その顔が、怖い。

そしてこの間と同じように

仁美がぴったりと古澤君にくっついている。

どうやら2人、デート中のようだ。

仁美もまた私をさげすむような目を向けてくる。

「やっだー。また会っちゃった、大塚さんと。

 でも仕方ないっかー。同じ中学だったし。」

そう言うと仁美はバカにするようにゲラゲラと笑った。

古澤君もまた仁美に同調するように笑う。

消えかかっていたあの記憶が

また蘇ってくるのが本当に嫌だ。

でも私の中でそれがもくもくと膨れ上がってくる。

私の中だけでは

おさまらないんじゃないかという程に。