羽ばたけなくて

この店は駅前にありながらも

少し隠れたところにある。

地元の人には有名な店なんだけれど、

雅也はここを知らなかったのだろうか。

私と家が同じ方向にあるというのに。

「このお店、知らなかったの?

 ここらへんの人には有名なお店なんだけど。」

私はたまらず訊いてしまった。

「あぁ。だって俺……」

雅也の言葉にかぶせるかのように、

突如、別の声が響いてきた。

「あれー? また会っちゃった。ね、大塚さん。」