羽ばたけなくて

その時、

「羽衣?」

呼び掛けられ、心臓が飛び出るほどに反応する。

その声……もしかして……

高鳴る鼓動をそのままに、

声のする方へとゆっくり振り返る。

「ま、雅也……」

オフホワイトのカッターシャツに

黒のジーンズ姿の雅也がいた。

まさか、日曜日にこんなところで会うなんて。

会えた嬉しさにじんわり胸が温かくなる。

「雅也、今日1人なの?」

激しく打ち続ける鼓動がばれないように、

胸の辺りにDVDをあてながら

私はどうにか言葉を続ける。

雅也はこくんと頷くと、

「ここ、俺初めて来たんだよね。」

と店内を見渡しながら言った。