羽ばたけなくて

ヨウはお気に入りの赤いランニングシャツを着て、

私とは逆にその日差しが心地よく感じているようだ。

にじんだ汗がヨウに似合っている。

「ところで、ヨウ。どこに行きたい?」

実は私たち、まだこれからの行き先を決めていない。

とりあえず家を出て歩きながら考えようと思ったのだ。

私の言葉にヨウが「うーん」と

腕を組みながら悩んだかと思うと、

突如、表情が明るくなって、

「CDショップ!」

と元気にこたえた。

ヨウの言う“CDショップ”とは

レンタルDVDショップのことで、

どうやらヨウの中ではDVDよりも

CDの方が馴染みがあるようだ。

「よし。じゃ、CDショップ行こうか。

ヨウの好きなの、あるといいね。」

「うん! そしたら、一緒に観ようね。お姉ちゃん。」

ふんわりとした優しい笑顔で言うヨウに、

私もまた微笑んでこくんと頷いた。

そして、私たちは行きつけの駅前にある

レンタルDVDショップへと向かい始めた。

隣から聞こえる軽快な鼻歌に心弾ませながら。