羽ばたけなくて

「……天然。」

ポンと飛んできた言葉に唖然としながらも、

私はゆっくりとその声の方を見た。

すると雅也が上半身を起こした状態で

私をじっと見つめていた。

その視線に私の心臓がびくんと反応する。

顔がみるみる赤く染まるのが自分でも分かる。

だって、顔がどんどんと熱くなっていっているから。

私は暴れる心臓をなんとか静めようとしながら、

雅也に声を掛けた。

「な、なによ。“天然”って。」

私の弱々しい反論に雅也は珍しく

ふふっと笑いながらこたえた。