羽ばたけなくて

「あれ、もう雅也寝ちゃってるの?」

いつの間にかバルコニーから戻ってきた美園が、

ソファに横になっている

雅也の顔を覗き込みながら言う。

じっと見つめ続けていたことがばれたのではと

内心ヒヤヒヤしながらも、

私は微笑みながら、

「うん、そうみたい。」

と軽くこたえた。

美園に言われて初めて

雅也が寝息を立てていることに気付いた。

それほどまでに私は

雅也をぼうっと眺めていたのだろう。

暴れる鼓動をそのままに。