羽ばたけなくて

バルコニーに身を乗り出しながら

美園が満面の笑みで大きく手を振っている。

美園の隣には大志の姿。

ただ、2人はなぜかエプロンを身につけ

手にはお玉を持っていた。

「遅くなって悪ぃな。

 実は俺と美園でカレー作っちまったんだ。」

大志の言葉に私はようやく辺りに

ほのかに香りが漂っているのを感じた。

食欲をそそるあのスパイシーな香りが。

「羽衣と雅也も早く来なよ。

 私の愛情たっぷりカレーが待ってるよん。」

美園が片目をパチリとウインクさせながら得意気に言う。

そんな美園の肩に軽く突っ込みを入れながら、

「美園はほとんど何もやってねーじゃねーか。」

と大志がイタズラな顔を浮かべながら言う。