羽ばたけなくて

私としてはもう少しちゃんとしたこたえが欲しかった。

ほんのちょっとでもいいから

期待がもてるようなことを雅也の口から訊きたかった。

“想像に任せるよ”

そんなニュアンスのことでもいいから。

「雅也にそれを求めるのはやめといた方がいいぜ。」

もうすでに飲み干してしまったのか、

大志はサイダーが入っていたペットボトルを

振り回しながら言った。

「こいつはホント、口数すくねぇから。」

大志の言葉に雅也は黙ってひとつ頷く。

こうして4人で過ごすようになって3ヶ月が経つけれど、

雅也のことだけがまだイマイチつかみ切れていない。

美園と大志は割と分かりやすい性格だから

すぐに馴染んだけれど、

雅也とはまだ少しだけ心の距離がある気がする。