羽ばたけなくて

とても苦い初恋、安陪君の笑い声。

軽蔑する視線。

そして、心をズタズタにする乱暴な言葉。

それらが一気に私の頭の中を埋め尽くし、

雅也への想いを引き戻した。

そうだ。

今、雅也は私を嫌がることなくこうして一緒にいてくれる。

けれど、

こんな私になんか告白されたらきっと迷惑に違いない。

みんなとは違う私なんか、想いを伝えること自体が罪なんだ。

そう心の中で強く叫んだ。

そして私は雅也へと視線を向けることなく

ただ静かに海を見つめ続けた。

静まることのない鼓動をそのままに。

雅也を側に感じながら。

でも、心の隅ではほんの少しだけ期待もしていた。

“雅也も私と同じ想いでいて欲しい”

叶うことなんてないだろう寂しい期待を。