羽ばたけなくて

“私、雅也が好き―――”

この雰囲気の中無意識に言いそうになり、

慌てて口をつぐむ。

波の音を聞きながら砂浜で2人きり。

きっと告白するなら、最高のシチュエーション。

もしこの流れで想いを伝えたら、

きっとその告白の言葉に

ふんわり優しい魔法がかかる気がする。

日常とは違う環境だからこそ、上手くいくかもしれない。

でも―――。

私にはその言葉を口にすることが出来なかった。

言葉が喉を通った瞬間、

あの時のあの場面が私の頭を占拠したから。