羽ばたけなくて

ふと家の方から甲高い声が飛んできた。

「ねぇねぇ、カレーの材料が足りないんだけどさー。」

美園はバルコニーに身を預けるようにしながら言う。

その隣から大志が大きな声で言葉を続ける。

「俺たち、買い出し行ってくるけど、

 雅也と羽衣どうする?」

大志の問いかけに、

“私も行くよ”

とこたえようと私が口を開いた時だった。

夕日から視線を外した雅也が、

「俺、羽衣と一緒に待ってるよ。

 こいつ、動けなそうだし。」

と返事をした。