羽ばたけなくて

「うわぁ。綺麗!」

美園のおじさんが運転する車から降りた瞬間、

自然と言葉が出てきた。

まるで1枚の美しい絵画のような景色に

私は思わず見とれた。

ヨーロッパの海岸にいるんじゃないかと錯覚さえ感じる。

それほどまでに、

目の前に広がる景色が別世界にうつった。

辺りをやんわりと吹く風も、

特別なもののような気がする。

どうやらそう感じているのは私だけではないようだ。

大志もまた私と同じように言葉を失い、

ただただ目の前に広がる景色を見つめていた。