羽ばたけなくて

「いいじゃない。行ってきてもいいわよ。

 ねぇ、あなた。」

「あぁ。みんなと楽しんできなさい。」

反対されるものと身構えていた緊張が

一気にほどけるを感じた。

体の節々から“プシュー”と

蒸気の音が聞こえるんじゃないかという程、

それまで入っていた全身の力がどっと抜けた。

そして私は満面の笑みを見せながら、

「うん! ありがとう、お父さん、お母さん!」

と声を弾ませた。

大志も雅也も、“美園の別荘”だからなのか

すんなり許可してくれたようだ。

改めて、美園の両親の偉大さを感じる。

さすが、大会社を何年も安定して経営するだけある。

それだけ、世間の評価もいいのだろう。

それぞれの親に感謝しながら、

私たちはとうとう連休初日を迎えた。