羽ばたけなくて

「美園の別荘は? こっから近いんだろ?」

思いもよらぬ雅也の提案に、

私たちは驚きを隠せずにいた。

雅也からそんなことを言うなんて。

でも確かに前、美園が「別荘が近くにある」とか

言っていたような気がする。

雅也の言葉にみんなの視線が美園へと集まる。

すると美園は、

「そうっかぁ! ウチの別荘にしようっか。

 そこだったら、パパが送ってくれるだろうし、

 海も近いし、遊び放題だし!」

と茶目っ気たっぷりに笑いながら言った。