羽ばたけなくて

思わず雅也にしばらく見とれてしまいそうになるのを抑え、

私も美園の意見に賛同した。

「私も賛成! で、みんなでどこ行くの?」

私の問いかけに美園と大志は一瞬だけ視線を合わせ、

そしてそれぞれ天を仰いだ。

言いだしっぺのはずの美園には、

場所までの考えはなかったようだ。

大志もまた、

天井をみつめながら「うーん」とうなり続ける。

滅多にない連休。

だったら、いつもとは違うことをして楽しみたい。

でも、その場所まではなかなか思いつかないでいた。

ふと、あの低く響きやすい声が

私たちの中に新しい風を吹き込んだ。