「おーい、羽衣。羽衣ちゃーん。」

私の目の前で手をひらひらさせながら美園が言う。

その呼び掛けにハッとして私は少し微笑んだ。

その微笑みもぎこちないものだと自覚しながら。

「ごめん、美園。」

「なんか今日の羽衣、

 いつも以上に意識が飛んでる気がするんだけど。」

美園の言葉に心臓がドクンと大きな音を立てる。

やっぱり周りに気付かれてた。

手に変な汗がじんわりと出るのを感じながら、

私は平静を保とうとしながら言う。

「そんなことないって。いつもと一緒だよ。」

私の返事に大志は大きく頷き、口を開いた。

「そうそう。羽衣がぼーっとするのはいつものことじゃん。

 美園、考えすぎんじゃねーよ。」

大志は私に向かって「なぁ」と言いながら

私の肩をポンと叩いた。