「ちょ、悠。病み上がりなんだから」
そういう私の声は悠には届いていないようで、護くんの腕の中で子供らしい笑顔を浮かべて笑っている。
あーもう、妬いちゃうなぁ。そんな笑顔、最近見てない気がするし。
母親よりも、幼稚園の先生の方がいいとか寂しい。
やっぱり男同士、気が合うんだろうか。悠も、父親が欲しかったりするのかな。
「あ、はるさん。昨日はどうも……」
抱き抱えた悠をゆっくり降ろして、私に向き合う護くん。
「いえ、こちらこそありがとうございました。これ、約束の――」
そう言いながら、手に持っていた小袋を差し出す。
護くんは「約束?」と首を傾げながら袋の中身を確かめる。
「あ、お弁当。本当に作ってくれたんですか?嬉しいですっ」
目をキラキラさせながら、私の手を両手で握った。
良かった、喜んでくれたみたい。

