ぼそっと言った、その言葉に太った悠を想像してみる。
ぽっちゃりの悠……更に、太っちょな彼。
んー、それはそれで問題ありか。でも――。
「……ガリガリより、良いでしょ」
そう。いかにも栄養失調で、食べてませんって感じよりかは。
なんて言い返してくるか悠の反応を期待していたけれど、私の顔をジッと見つめた後
何事もなかったかのように、前を向いて歩き出した。
うわっ……聞こえなかった振りしてる。
呆れて反応するのさえ、面倒くさいって思ったのかもしれない。
親の言葉を無視するなんて、百年早いっつーの。
頭を描き撫でようと手を伸ばしたけれど、それはあえなく空振りしてしまう。
何故なら、護くんの姿を見つけ嬉しそうに走っていったから。
「イチにぃ〜」
「悠?……もう、大丈夫なのか?熱は?」
駆け寄ってくる悠の姿を見つけた護くんは、心配そうに近づいてきた。
そんなことを気にもとめないで、悠は彼に飛びつく。

